一般社団法人日本臨床検査学教育協議会

コラム/エッセイ

臨床検査学 次の20年へ! ―目指す未来、実現への課題―(1)
〜 第20回日本臨床検査学教育学会学術大会開催に寄せて 〜

第20回日本臨床検査学教育学会が2026年8月27~28日に開催されます。
大会テーマ「臨床検査学 次の20年へ!―目指す未来、実現への課題―」に込めた想いを、大会長が語ります。《全3回》

関連リンク:第20回日本臨床検査学教育学会学術大会

(第1回)現在の教育課題への対応 ―質の高い教育と多様な学びの両立―
はじめに

20年前、臨床検査を取り巻く環境は現在とは大きく異なっていました。当時は、遺伝子検査や人工知能(AI)、デジタル技術、再生医療といった言葉は、現在ほど身近なものではありませんでした。しかし、この20年間で医療は大きく進歩し、臨床検査の役割も大きく変化してきました。

現在、臨床検査は、病気を診断するためだけではなく、治療方針の決定、治療効果の評価、将来の病気のリスク予測など、患者さん一人ひとりに適した医療を提供するために欠かせないものとなっています。

これからの20年、臨床検査学はどのように発展していくのでしょうか。そして、その未来を担う人材をどのように育成していくべきでしょうか。

本大会では、「現在の教育課題への対応」「予測できる未来への対応」「予測できない未来への対応」という3つの視点から、臨床検査学の未来について考えます。

1.現在の教育課題への対応 ―質の高い教育と多様な学びの両立―

臨床検査技師教育において、最も重要な課題の一つは、教育の質をどのように保証していくかということです。

現在、臨床検査技師を目指す学生は、大学、短期大学、専門学校など、さまざまな教育機関で学んでいます。それぞれの教育機関には、地域性や教育方針などの特色があり、この多様性は臨床検査学教育の大きな強みです。

一方で、どの教育機関で学んだとしても、臨床検査技師として必要な知識、技術、そして医療人としての姿勢を身につけることができる教育体制を整えることが重要です。

そのためには、共通して身につけるべき基礎的な教育内容を明確にするとともに、それぞれの教育機関が特色ある教育を展開できる仕組みが必要です。

また、臨床検査の世界は日々進歩しています。遺伝子検査、画像解析、質量分析、AIを利用したデータ解析など、新しい技術が次々と医療へ導入されています。

これらの変化に対応するためには、教科書や教材も時代に合わせて継続的に更新していく必要があります。

さらに、教育を行う場と、実際に患者さんの検査を行う臨床現場との連携も重要です。臨床で活躍する臨床検査技師が教育に関わることで、学生は検査が医療の中でどのような役割を果たしているのかをより具体的に理解できます。

教育と臨床が互いに支え合う環境をつくることが、次世代の臨床検査技師育成につながります。

筆者:勝田 仁(かつた ひとし)

第20回日本臨床検査学教育学会学術大会・大会長
九州大学大学院医学研究院 保健学部門 検査技術科学分野・教授