コラム/エッセイ
【対談】サッカー日本代表のチーム作りから学ぶ、
これからの臨床検査技師教育(1)
昭和医療技術専門学校の学校長として臨床検査技師の育成に携わる山藤賢先生は、現役の医師であり、サッカー日本代表チームドクター複数の医療法人の経営者という顔も持ちます。
その山藤先生と、サッカー日本代表・森保一監督による共著『日本のために!』がこの度出版されました。立場は違えど同じ未来を見つめる二人の熱い対話から、これからの臨床検査技師教育のヒントを探ります。「最上位の目標」を共有するチーム作り、個を認める心理的安全性、国試合格のその先にある「学習者の幸せ」に迫ります。《全4回》
関連リンク: 日本のために!世界一に挑戦する日本人の「誇り」と「あり方」
(第1回)ワールドカップ優勝の先にあるもの
──『日本のために』から考える教育の原点

關谷
山藤先生、この本を読んで一番驚いたのは、森保監督が見ている景色でした。
山藤
どんなところですか。
關谷
私は、森保監督はワールドカップ優勝を純粋に目指している人だと思っていたんです。でも読んでみると、その先にあるものを見ておられた。
山藤
うん。
關谷
日本代表の活躍を通して、日本の良さ、「大和魂」を世界に知ってもらいたい。日本人自身にも誇りや自信を持ってほしい。そういう思いで代表を率いておられるんだと知って、すごく驚きました。
山藤
森保さんらしいですよね。
關谷
試合を見ていても、私たちが感動するのって、必ずしもスーパープレーだけじゃない気がするんです。辛い局面でも必死に守って取り返して、みんなでつなぐとか。そういう泥臭い姿に心が動く。
山藤
そこに日本人らしさを感じるんでしょうね。
關谷
そうなんです。「私たちの代表だ」と思えるのは、そういうところなのかなって。
山藤
勝っても負けても、どう戦ったか。そこに価値があるということですよね。
關谷
そうなんです。本を読みながら、実はずっと自分のことを考えていました。
山藤
どんなことを?
關谷
森保監督は、日本代表という立場で日本の未来を考えている。じゃあ私は、自分の立場で何ができるんだろうって。
山藤
なるほど。
關谷
ちょうど最近、「Think globally, act locally」という言葉を聞いたんです。自分が実際に行動できる範囲は限られている。でも、その行動がどんな未来につながるのかは考えられるんじゃないかと。
山藤
僕もそう思います。結局、自分がいる場所でやるべきことを一生懸命やるしかないんですよ。
關谷
本の中にも、長い時間の流れの中で今を生きるという話がありました。勝っても負けても、その姿を見た人が次につないでいく。過去から受け継いできたものがあって、その先につないでいく人がいる。
山藤
未来は分からないですからね。でも、今ここでベストを尽くすことはできる。
關谷
その話を聞いていて、先生の著書『森のような経営』を思い出しました。大きな時間の流れの中に自分がいるという考え方です。
山藤
僕らは流れの中の一点ですからね。
關谷
森保監督は日本代表で。山藤先生は学校や医療の現場で。それぞれ立場は違うけれど、どこか同じ方向を向いているように感じました。
山藤
そうかもしれませんね。
關谷
さっきも言った問いが、頭から離れません。
山藤
何ですか。
關谷
「では私は、臨床検査技師を育成する教師として何ができるのだろう」という問いです。


(第2回へ続く)
関連リンク: 山藤賢×山田博「森のような経営 – 社員が驚くほど自由で生き生きする。「心理的安全性」に溢れた組織づくり -」
