コラム/エッセイ
法医学の卒業研究 (1)

臨床検査技師をめざす学生たちが、卒業研究で取り組んだ法医学の研究。その始まりは、警察から届いた血痕鑑定の依頼でした。事件の痕跡を読み解こうとする研究の過程と、そこで得た学び、そして学生たちの未来への思いを連載で紹介します。
臨床検査技師の意外な進路
― 法医学との出会い
臨床検査技師の仕事は病院や検査センターなどで患者さんの検体を扱って様々な検査をするというイメージが強いですが、皆さんが思っている以上に様々な分野で活躍しています。変わりどころでいうと、私自身、昔からテレビドラマ等で見る「法医学」に興味を抱き、大学院では法医学分野を専攻しました。それがきっかけで卒業後はその時、在籍していた大学病院から同じ大学にある法医学講座にジョブチェンジしました。そこでは医学はもとより、生物学や物理学に至るまで様々な知識に基づいて研究が行われ、亡くなられた人の“死にまつわる機序”を追求しました。時には動物実験を行ったり、ヒトの細胞を使ったり、学生時代から今に至るまで臨床検査で学んだ知識を余すこと無く使い、自らのアイデアを盛り込みながら様々な実験に取り組み、得られた結果を解剖等の法医学実務に応用していくことが目的です。
法医学に興味を持つ臨床検査学生たち
― 卒業研究がつないだ学びのきっかけ
現在、私は別の大学で臨床検査技師の育成をする教員として働いていますが、毎年のように学生の中には法医学分野に興味があり、科捜研(科学捜査研究所:現場から収集されたDNAや指紋などを鑑定・分析し、事故や事件の解明を技術面から支える専門機関)を目指したいと言ってくる人がいます。しかしながら、法医学分野はニッチな世界なので誰しもがその職にありつけるとは限りません。と言うのも、少ない定員や募集のタイミング、その道の知見のある人からの紹介等の影響に大きく左右されるからです。ただ私自身、型にはまることが大嫌いな性格なので柔軟で探究心のある変わり者の学生は大歓迎です。少しでも法医学を通じて臨床検査の面白さと幅広い知識を吸収してもらおうと、卒業研究では法医学をサブテーマとして実施しています。毎年、動物実験を通じて疾患の成り立ちや飛沫血痕についての動体の卒業研究を行い、集大成として学生のうちに学会発表や外部機関への論文投稿を学生とのワンチームで行っています。
