一般社団法人日本臨床検査学教育協議会

コラム/エッセイ

「なんか面白そう」からはじまる進路の話 (3)
~「自分で選んで、決めて、そして今ここにいる」という感覚の大切さ~

教員になった頃
教員になった頃

「自分で選ぶ」ということ

さて、話を元に戻します。

時を経て、私は臨床検査技師を育成する教員になりました。そこで気づいたのは、「すべての学生が、私のように自分の意思で臨床検査技師への道を選んできたわけではない」ということです。「ここじゃない」「こんなはずじゃなかった」――そんな気持ちを抱えている学生が、一定数いることに気づきました。

入学後に不本意な気持ちを抱えている学生に話を聞くと、自分の気持ちよりも親の意向を優先したり、医学部や薬学部に届かず、高校の先生に「別の選択肢」として臨床検査技師を勧められたりしていることがわかりました。また、臨床検査技師のことをよく知らないまま入学し、「思っていたのと違う」と感じてしまう人もいます。

せっかく努力して入学したのに、今いる場所や学んでいることに納得できていないとしたら、それはとてももったいないことです。どうすれば、みんなが自分の未来に希望をもって学べるようになるのだろう――そんな思いが強くなりました。

私は、自分自身の経験から、進路は「自分で選ぶ」ことがとても大切だと考えています。困難に直面したとき、「自分で選んで、決めて、そして今ここにいる」と思えることが、自分を支えてくれるからです。

そんな思いをもつ中で、私は臨床検査学教育協議会の広報委員として、ウェブサイトをリニューアルする機会に恵まれました。

顕微鏡(組織や細胞を観察する実験器具)
顕微鏡(組織や細胞を観察する実験器具)

「なんか面白そう」に出会えるサイトへ

臨床検査学教育協議会は、臨床検査技師を養成する教育機関の団体です。私たちの願いは、臨床検査を学んだ人たちが、その知識と技術を生かして幸せな人生を歩むこと。そして、さまざまな場で専門性を発揮し、社会の役に立つことです。さらに、その積み重ねによって、臨床検査という分野が発展していくことを願っています。そのため、新しくなったウェブサイトでは、臨床検査を学んだ先に広がる多様な進路や可能性を、中学生や高校生、保護者の方々、高校の先生方に伝えることに力を入れています。

まなぶ」のページでは、臨床検査技師を養成する大学・短大・専門学校でどのようなことを学ぶのかを、各分野の教員が具体的に、わかりやすく紹介しています。

はたらく」のページでは、病院や検査センターで活躍する臨床検査技師だけでなく、企業、研究、行政など、幅広い分野での活躍の場を紹介しています。

コラム/エッセイ」では、教員やさまざまな分野で活躍する臨床検査技師、そして学生たちが、それぞれの視点から新鮮な話題を発信していきます。

「自分で選んで、決めて、そして今ここにいる」という感覚は、困難に直面したときに自分を支えてくれます。このウェブサイトが、臨床検査を学んでいる人、これから学ぼうとする人、そしてそれを支えるすべての人にとって、「なんか面白そう」に出会える場になることを願っています。

最後に、今いる場所や進む方向に「不本意な気持ち」を抱いている人へ。

どんな状況にあっても、未来に繋がる道は必ずあります。「不本意な気持ち」を無理に消そうとしたり、否定したりする必要はありません。少しだけ「保留」にして、今いる場所に「なんか面白そう」が転がっていないか、見回してみませんか。

思ってもみなかった未来へとつながる道が、見つかるかもしれません。

筆者:關谷 暁子(せきや あきこ)

臨床検査学教育協議会 副理事長、広報委員長
北陸大学医療保健学部