コラム/エッセイ
「なんか面白そう」からはじまる進路の話 (2)
~「自分で選んで、決めて、そして今ここにいる」という感覚の大切さ~

「大学院を修了した臨床検査技師って、その後どうなるんだろう?」
「大学院を修了した臨床検査技師って、その後どうなるんだろう?」
大学院に入学した頃、私はそんな漠然とした不安を抱いていました。
当時、臨床検査技師を目指せる学校は3年制の短期大学や専門学校が多く、4年制大学は全国に数校しかありませんでした。私自身、大学が3年制から4年制に変わった年に入学し、1期生として大学院に進学したため、身近に進路のモデルとなる先輩がいませんでした。大学院を出た後、医療機関で臨床検査技師として働くのか、それとも別の道があるのか、まったく想像ができませんでした。
現在では、大学院(修士課程や博士課程)を修了した臨床検査技師が、医療機関だけでなく、一般企業や研究職、教育職など、さまざまな分野で活躍しています。
さて、大学には、大学院生が教員のアシスタントとして授業をサポートする「ティーチング・アシスタント(TA)」という制度があります。TAとして実習や卒業研究で後輩の指導に関わるうちに、私は「教育」に強い興味を持つようになりました。
「学生の実習を受け入れている病院で働けば、臨床検査技師の仕事をしながら教育にも関われるのではないか」
そう考えた私は、医療機関であり教育機関でもある「大学病院」に就職することを決めました。募集は「非常勤職員」のみでしたが、迷いはありませんでした。私にとって大切だったのは、「常勤か非常勤か」ではなく、「教育に関わることができるかどうか」だったからです。
目標が定まったことで、「大学院を修了した臨床検査技師って、その後どうなるんだろう?」という不安は、次第に気にならなくなっていきました。

「なんか面白そう」に従ってみる
大学病院では、一般の病院ではあまり行われないような特殊な検査も行われています。「染色体・遺伝子検査」もその一つです。
私が最初に配属されたのは、当時新設されたばかりの「染色体・遺伝子検査室」でした。そこでは、血液疾患(白血病など)の診断や治療効果の判定のための「FISH検査」や、肝炎ウイルス(B型肝炎・C型肝炎)を検出する「PCR検査」などを行っていました。大学院で身につけた遺伝子解析や細胞培養の知識・技術が、そのまま現場で役に立っていることを実感しました。
入職時は非常勤職員でしたが、数年後、常勤職員となることができました。
ここまで読んでくださった方は、もうお気づきかもしれません。私の進路選択の拠り所は、一貫して「自分の興味」でした。きっかけは、「なんか面白そう」という直感だったのです。なんとも能天気なものです。
けれど、「なんか面白そう」と進んだ先には、いつも「もっと面白そう」な選択肢がありました。そして、それまでに身につけた知識や技術は、次のステップで確かに役に立っていました。
当時は、今のようにインターネットが普及しておらず、得られる情報は限られていました。だからこそ、「なんか面白そう」という感覚に素直に従うことができたのかもしれません。こんなにも多くの情報があふれる時代に進路を選ぶ今の若い人たちは、大変だなと思います。「迷ったら、『なんか面白そう』に従ってみる」それが、私のひとつの考え方です。
