一般社団法人日本臨床検査学教育協議会

コラム/エッセイ

検査を支える“もう一つの現場”(4)
― 臨床検査センターの世界

病院の外にも、医療を支える大切な現場があることを知っていますか?本シリーズでは、国内最大級の臨床検査センターを訪れ、その仕組みや働く人々の姿を通して、臨床検査技師の仕事の魅力と社会的役割を紹介します。

(第4回)「働く人を支える環境と災害への備え」

厚生施設

ダイニング・カフェやベーカリーのある厚生棟は、アースカラーを基調とした内装で、曲線を多く取り入れたやわらかな空間でした。白を基調とした直線的なデザインのラボ棟とは対照的です。緑と灰色のまだら模様の床は、ガラス越しに見える中庭の芝生とひと続きのように感じられます。庭も建物も、もともとの地形をできるだけ生かして設計されており、廊下にはところどころゆるやかな勾配がついています。エントランスホールやダイニング・カフェ、ベーカリー、ラボ棟への連絡通路は回廊になっており、全面ガラス張りの中庭から自然光が降り注ぎます。

従業員は出勤後にユニフォームへ着替え、基本的に退勤まで建物内で過ごします。さらにラボ棟には窓がありません。だからこそ、休憩時間を開放的で心地よい空間で過ごせるように設計されているそうです。ダイニングのメニューも豊富で、日替わりや週替わりのメニューが多く、飽きない工夫がされています。この日は量り売り形式のビュッフェでした。

エントランスホールにて

災害対策

臨床検査を行うラボ棟と、研究・開発を担うR&D棟は免震構造、管理棟や厚生棟は耐震構造となっており、大規模な災害時にも被害を最小限に抑えられる設計になっています。さらに、電気や水の供給が停止した場合でも、3日間はフル稼働が可能で、検査内容を絞ればそれ以上の稼働も可能な自家発電設備と貯水設備が整えられています。まさに、平時から有事に備える体制です。

「大災害でも検査を止めない」

その言葉からは、国内最大手であり、世界的にも有数の規模を誇る臨床検査機関としての責任と誇りが感じられました。

株式会社エスアールエルでは、今回のような見学を積極的に受けておられるとのことです。
興味を持たれた臨床検査技師養成機関の先生方、学生さんと一緒に訪れてみてはいかがでしょうか?

見学した学生の感想

  • 染色体検査では、撮影された染色体をAIが自動で並べる様子がとても印象に残りました。機械では難しい部分を人の手で補い、パズルのように素早く並べている姿に専門性の高さを感じ、今後さらに学びを深めたいと思いました。
  • 以前、大学の実習で染色体標本を作製した際は、染色体がうまく広がらず観察しにくい標本になってしまいました。今回の見学では、職員の方から標本作製の条件について詳しく伺うことができ、大変参考になりました。検体取り違え防止の工夫が徹底されていたことも強く印象に残りました。
  • 見学を通して、染色体の標本作成について理解を深めることができました。大学の実習で行った際は、染色体が短く十分に広がっておらず観察が難しかったので、学んだことを生かして様々な条件を検討し、より良い標本を作ってみたいと思いました。

筆者:關谷 暁子(せきや あきこ)

北陸大学医療保健学部