コラム/エッセイ
支援が広げた私の可能性(1)
「支援が広げた私の可能性」
私には、先天性両耳感音性難聴があります。周囲の支援を受けながら臨床検査技師を目指し、現在は専門職として働く自身の経験を通して、修学支援と社会における情報共有について紹介します。《全2回》
※参考資料
原口彩央里.第14回日本臨床検査学教育学会学術集会 シンポジウムⅠ:臨床検査技師教育における修学支援について:多様な学生への支援 3.元当事者の視点から. 臨床検査学教育 Vol.12,No.1 p.54〜58,2020.
(第1回)支えられて切り拓いた学びの道
― 聴覚障害とともに臨床検査技師を目指して ―
先天性両耳感音性難聴者の私は、両耳ともに聴力100dBです。補聴器を装用しても“音”は微かに聞きとれますが、“言葉”としての認識はできません。そのため、日常生活では主に口話(話している相手の唇の動きを読み取り会話を行う方法:読唇・発話)でコミュニケーションを取り、身体障害者障害者手帳2級(難聴では最も重い等級)の交付を受けています。
小・中学校の義務教育と高等学校は地元の公立学校普通学級で学び、授業は小学校4年生から市から派遣された教育アシスタントによる要約筆記のサポートを受けました。
臨床検査技師養成校(以下、大学)では、すべての授業および学内行事において、パソコンノートテイクや手書きによる要約筆記(話されている内容を要約して、文字として伝える方法)のほか、先生方手作りの字幕付き動画などの教材による修学支援を受けました。さらに、顕微鏡を使用する実習では、モニター付き顕微鏡を購入していただき、モニターに映し出された顕微鏡下の標本を指差しながら先生方の唇の動きを読み取り、標本画像の特徴等を学ぶことができました。
当時、大学では聴覚障害学生の受け入れは私が初めてと言うことでしたが、先生方や学内外の支援者の皆さまが試行錯誤を重ねながら、修学環境を整えてくださいました。
さらに、国家試験受験時は受験に伴う配慮(補聴器の持ち込み・使用、座席位置の配慮、注意事項等の文字による伝達など)を申請して臨み、臨床検査技師免許を取得することができました。


