コラム/エッセイ
支援が広げた私の可能性(2)
「支援が広げた私の可能性」
私には、先天性両耳感音性難聴があります。周囲の支援を受けながら臨床検査技師を目指し、現在は専門職として働く自身の経験を通して、修学支援と社会における情報共有について紹介します。《全2回》
※参考資料
原口彩央里.第14回日本臨床検査学教育学会学術集会 シンポジウムⅠ:臨床検査技師教育における修学支援について:多様な学生への支援 3.元当事者の視点から. 臨床検査学教育 Vol.12,No.1 p.54〜58,2020.
(第2回)学びの支援から社会での活躍へ
― 聴覚障害とともに歩む臨床検査技師 ―
大学等で受けた情報保障のおかげで臨床検査技師免許を取得後、現在は検査センターに勤務してさまざまな検体検査業務を担当しています。その中で検体の観察や確認など、視覚を活かす場面が多くあります。聴覚の障害がゆえに、自然に視覚から入る情報を素早くキャッチし分析できる自分の強みを活かしながら、検査を通して患者さんの診断や治療を支える一員として、正確な検査結果の報告に努めています。
一方で、社会人となって聴覚障害への理解や情報共有の方法について、新たな課題に直面しました。聴覚障害のない皆さまが想像する“聞こえないことによる困りごとへの配慮”提供は、実際に“障害者が必要としている配慮”と、必ずしも一致しない場合があります。私は口元を見ることで会話内容を理解しているため、口元を確認できない状況で急な変更や連絡事項が口頭のみで伝えられると、必要な情報を十分に受け取れないことがありました。
そこで、職場の方々と困りごとや必要な配慮について話し合い、情報共有の方法を工夫してきました。今では重要な連絡事項は文字で確認するほか、ハンドサインや指差しボードなども活用して、状況に応じた確認方法に工夫を行いながら、円滑な情報共有に努めています。この経験から障害への支援は、当事者と周囲がお互いの考えや困りごとを共有しながら理解を深め、ともにより良い環境を築いていくことの大切さを感じています。
障害学生への修学支援は学びを支えるだけでなく、将来社会で活躍する専門職を育てることにつながっています。私の経験が障害のある学生さんたちを支える皆さまの理解を深める一助となるとともに、中高生の皆さまが臨床検査の仕事に関心を持つきっかけとなれば幸いに思います。


